キャリア女刑事堕ちる
包まれたいリードされたい身動きが取れないのがいい
読んでいたところから開きました
始めたときは、完全にこちらのゲームだった。
年下で、経験も少なくて、私の前ではいつも少し緊張している。そういう相手だと思っていた。だから「今日は全部私が決めるね」と言ったとき、彼は素直に頷いた。
決めごとはひとつ。どちらかが「無理」と言ったら終わり。ひとつでいいと思っていた。それがどちらにも適用されることを、私はちゃんと読んでいなかった。
最初の三十分は、想定どおりだった。
仰向けにさせて、手は動かさないと約束させて、上から順に責めていく。乳首を舐めて、腹を撫でて、根元を握って離さない。焦らすたびに彼の腰が浮いて、浮くたびに押さえ込む。
「かわいい」
言ったら、彼が目を逸らした。逸らしたのが、また良かった。
寸止めを三回やったところで、私は自分の下着を脱いで、彼の上に跨がった。入口だけ当てて、そこで止める。この形がいちばん、こちらが上だと分かる。
「入れて、って言ってごらん」
「……入れて」
言わせて、少しだけ下ろした。彼が息を詰めるのを、上から見下ろした。
そこまでは、全部こちらのものだった。
変わったのは、彼が一言だけ言ったときだった。
「……手、使っていい?」
約束では、彼は動かない。動かないから、こちらが全部決められる。だから私は油断していた。油断したまま「いいよ」と言った。
言った瞬間、腰を掴まれて、下から根元まで突き上げられた。
声が出た。自分でも聞いたことのない出方をした。上に乗っているのに、動かしているのは彼のほうになっていた。
「待って、いま、私が……」
「うん。乗ってていいよ」
乗っていていい、と言われた。上にいるまま、下から一方的に突かれる。逃げようとして腰を上げると、そのぶん強く引き戻される。上にいるのに逃げられない、という形が、これほど効くとは思っていなかった。
奥に当たりはじめてから、私は言葉を組み立てられなくなった。
亀頭が子宮口を叩く。同じ深さで、同じ速さで、休みなく。指では絶対に届かないところを、こちらの都合を無視して押し上げられる。中が勝手に締まって、締まったところを構わず突かれる。
「さっき、かわいいって言った?」
「……い、言った」
「もう一回言って」
言えなかった。言えないでいると、速さが上がった。上がったところで一度目が来て、来ているあいだも止めてもらえなかった。締めつけているのに構わず動かれて、痙攣が引ききる前に次が乗ってくる。
「上、代わろうか」
そのまま体を返された。仰向けにされて、脚を肩に掛けられて、上から落とすように突かれる。さっきまで見下ろしていた顔が、いま真上にある。
何回目かは、覚えていない。
三回目までは数えていた。四回目からは、いっているのか続いているのかの区別がつかなくなった。乳首を摘ままれながら奥だけを叩かれて、腰から下の輪郭が溶けていく。抜かれた瞬間に噴いて、そのことに自分がいちばん驚いた。
「……無理」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
止めてほしいわけではなかった。決めごとの言葉を、止めたくないときに使ってはいけない。それだけは分かっていたので、私は言葉を飲み込んで、代わりに彼の腕を掴んだ。
掴んだのを、彼はちゃんと読んだ。読んだうえで、動きを止めなかった。
終わったあと、私は五分くらい何も言えなかった。
「大丈夫?」
その一言が、始まる前と同じ、緊張した声だったので、私は笑ってしまった。笑ったら、涙が出た。
「……いつから、あれできたの」
「けっこう前から。言うタイミングがなかっただけ」
「なにそれ」
「あなたが、決めるの好きそうだったから」
そのやさしさが、いちばん分からせられた部分だった。分からせるつもりで始めて、分からせられたうえに、気を遣われていた。
次はどっちが決めるか、私はまだ何も言っていない。言わないでいるあいだ、彼も何も訊いてこない。訊いてこないのが、たぶん答えだった。
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今夜のものを見るこの物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。