煽り続けた罰

役割逆転・女性優位生意気・分からせお預け・ドライ服従・禁欲

3分で読めます・1,7322026年8月30日

「どうせ、女の子はすぐイかせちゃうから」

その男は、そういうことを平気で言う人だった。

言われるたびに、私は笑って流していた。流していたのは、腹が立っていなかったからではない。どこで返すかを決めていなかっただけだ。

三度目にそれを聞いた夜、私は決めた。

「じゃあ、今日は逆にしよう」

「逆?」

「あなたが何もしない。私が全部決める。あなたはイけない」

彼は笑った。笑ったまま「いいよ」と言った。その「いいよ」を、私は録音しておきたかった。

決めごとはひとつだけ作った。彼が「ストップ」と言ったら、その言葉だけは冗談として扱わない。それ以外は全部、私が決める。彼はそれを聞いて、また笑った。

* * *

最初の三十分で、余裕は消えた。

ベッドに仰向けにさせて、両手をヘッドボードの上に置かせた。縛らない。縛らないほうが効く。自分の意思で動かないでいる、という状態を維持させたかった。

私は服を着たままだった。着たまま、彼の上に跨がって、太ももで挟んで、それ以外は何もしない。

「……なにこれ」

「待つ時間」

十分待った。彼の呼吸だけが変わっていくのを、上から眺めていた。

やっと下着を下ろしたとき、先はもう濡れていた。触ってもいないのに。

「もう濡れてる」

「……言うなよ」

「言うよ。さっきまで余裕だったのに」

指を一本だけ添えて、根元から先まで、ゆっくり一往復させた。それだけで腰が浮いた。浮いたのを、太ももで押さえ込んだ。

* * *

そこからは、寸止めの繰り返しだった。

根元まで咥えて、頬をすぼめて、じゅぷじゅぷ音を立てる。喉の奥まで迎えて、そこで止める。亀頭の裏だけを舌先で嬲りながら、根元は手で扱く。彼の腹が硬くなるのを見て、脈が変わるのを舌で数えて、その一歩手前で全部離す。抜くときに唾が糸を引くのを、わざと見せた。

離した瞬間の顔が、いちばん良かった。

「あ、待っ……」

「待つよ。待つのが今日のルール」

一回目は五分で追い込んだ。二回目は七分。三回目からは、彼のほうが早くなった。追い込まれるのが早くなる、というのが、この遊びのいちばん面白いところだった。焦らされた体は、こちらの都合よく壊れていく。

四回目の寸止めのあと、彼は初めて「お願い」と言った。

「なにを?」

「……いかせて」

「さっき、女の子はすぐイくって言ってたよね」

彼は答えなかった。答えられないのを見て、私は五回目に取りかかった。

* * *

六回目のあたりで、私は自分の下着を脱いだ。

跨がって、濡れた襞を先端に擦りつけて、そこで止める。当たっているだけ。中には入れない。自分の指で剥いたクリを、彼の先に押し当てて往復させる。滑る音がするようにして、あとは何もしない。

「入れて」

「言い方」

「……入れて、ください」

言えたので、少しだけ入れた。先だけ。それ以上は下ろさない。彼が下から突き上げようとしたので、腰を上げて抜いた。

「動かないって言ったよね」

「無理だって、これ」

「無理は無理でいいけど。ストップって言う?」

彼は数秒黙って、それから首を振った。

そこで私は、この夜の勝負がついたのを知った。

* * *

結局、その夜、彼は一度も出せなかった。

七回目か八回目か、途中から数えるのをやめた。最後のほうは、私が触るより先に彼の腰が動くようになっていた。動くたびに離す。離すたびに「ごめん」と言う。謝らせるつもりはなかったのに、彼が勝手に謝りはじめた。

私は最後に、自分だけ二回いった。彼の顔の上に跨がって、剥き出しのクリを舌に押し当てて、こちらのタイミングで。中にも指を使わせて、腹側だけを掻かせた。二回目は抜かせた瞬間に噴いて、そのぶんまで舐めさせて、それで終わりにした。

「明日は?」

「明日は、あなたが決めていいよ」

言ったら、彼が本気で困った顔をした。困らせたかったわけではないけれど、困った顔もよかった。

* * *

翌朝、彼はいつもより静かだった。

コーヒーを淹れながら、背中を向けたまま言った。

「……昨日の、あれ」

「うん」

「一回も出してないのに、いままででいちばん残ってる」

私はそれを聞いて、初めて笑った。分からせる、というのはこういうことだったのか、と、教えた側の私のほうが理解していた。

「どうせ女の子は」の続きを、彼はそれから一度も言わなくなった。


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この物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。