敬語になるまで

生意気・分からせ言葉責め・台詞主従・優位奥・ポルチオ

3分で読めます・1,4472026年8月30日

その子は、私にだけ敬語を使わなかった。

会社では誰にでも丁寧なのに、二人になった瞬間からタメ口になる。舐められている、というより、試されている感じがした。試されているなら、答えを出したほうがいい。

「賭けようか」

「なにを」

「今夜、あなたが先に敬語になったら私の勝ち。最後まで使わなかったら、あなたの勝ち」

「なにそれ。余裕なんだけど」

その一言が欲しかった。

決めごとはひとつ。「無理」と言ったら賭けごと終わり。それ以外はこちらが決める。彼はそれを聞いて、鼻で笑った。笑ったまま、シャツを脱いだ。

* * *

最初の十五分は、本当に余裕そうだった。

胸を舐めても、腹を撫でても、口の悪さは変わらない。「へた」「そこじゃない」「もっと下」。注文が多い。多いぶん、まだ余裕がある。

私は下着を脱がせて、根元を握って、そのまま何もしなかった。

「なにしてんの」

「見てる」

「意味わかんない」

意味は、そのうち分かった。握ったまま動かさない、というのを五分続けたら、彼の呼吸が変わった。変わったところで、やっと一往復だけ扱いた。腰が浮いた。

「今、浮いたね」

「浮いてない」

「浮いた」

* * *

口に含んだのは、二十分経ってからだった。

根元まで咥えて、頬をすぼめて、わざと音を立てる。喉の奥まで迎えて、そこで止める。腹が硬くなったのを確かめて、全部離す。抜くときに唾が糸を引いて、それを彼の目の前に見せた。

「……なんで止めんの」

「まだ敬語じゃないから」

三回目の寸止めで、口の悪さの質が変わった。命令から、抗議になった。四回目で、抗議から懇願になった。言葉遣いだけが、まだ変わらない。

意地だ、と思った。意地なら、折るところは口ではない。

* * *

跨がって、入口だけを当てた。

濡れているのは分かるようにして、それ以上は下ろさない。彼が下から突き上げようとするたびに、腰を上げて逃げる。何度か繰り返したら、彼が動くのをやめた。やめてから、目を合わせてきた。

「……入れて」

「まだ足りない」

そこで一気に根元まで下ろした。中に全部収まった瞬間、彼の喉が鳴った。奥に当たっているのは、こちらも同じだった。子宮口に当たるたびに、私のほうが声を出しそうになる。

出さなかった。ここで出したら、賭けが台無しになる。

* * *

そこからは、こちらの速さだけで動いた。

彼が合わせようとしたら止める。止めて、また動く。締めつけて、緩めて、また締める。中で確かめられるので、彼が近いかどうかは全部こちらに分かった。近くなったら止まる。止まって、彼の顔を見下ろす。

「まだ?」

「……っ、」

「言えば、動くよ」

五回目に止めたとき、彼が両手でシーツを掴んだ。掴んで、目を閉じて、それから言った。

「……お願い、します」

出た。

出た瞬間、私は動くのをやめなかった。約束どおり動いた。動きながら、耳元で聞いた。

「もう一回」

「……お願いします、動いてください」

その声が、会社で誰にでも使っているのと同じ声だったので、私はそこで自分のほうが保たなくなった。締めつけたまま奥を叩きつけて、二人ともほとんど同時に落ちた。

* * *

終わったあと、彼はしばらく喋らなかった。

「……ずるい」

「なにが」

「あれ、ずっと狙ってたでしょ」

「狙ってたよ。最初から」

彼は天井を見たまま、ため息をついた。ため息のあと、小さい声で「負けました」と言った。

その日から、彼は私にも敬語を使うようになった。会社では今までどおりに。二人のときだけ、なぜか丁寧になった。逆になったのが面白くて、私はまだ何も指摘していない。


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形態変化言葉責め・台詞歳の差主従・優位

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この物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。