【AIリマスター版】アリスピンクファイル あの新基準モザイクで魅せる! 及川奈央
非日常感がほしい着たままがいい
読んでいたところから開きました
「三人目、女の子でもいい?」
彼がそう訊いてきたとき、私は一拍おいてから「いい」と答えた。一拍の意味は自分でも分からなかった。嫌だったのではなくて、答えを出す前に、体のどこかがもう返事をしていた。
決めごとは、いつもどおり先に作った。誰かが「やめ」と言ったら全部終わり。写真は撮らない。三人のうち二人だけになる時間は作らない。彼女もそれを読んで、「わたしも同じでいい」と言った。
はじめて会った彼女は、想像していたより静かな人だった。私と同じくらいの背丈で、笑うと目が細くなる。飲みながら三十分ほど話して、その三十分のあいだ、私はずっと彼女の指を見ていた。
先に触れてきたのは、彼女のほうだった。
「触ってもいい?」
訊かれて頷いた瞬間、手が首筋に来た。男の人の手とまるで違った。力の入れ方が、自分の手つきに似ている。どこがどう気持ちいいかを知っている手だ、と思った瞬間、背中が勝手に反った。
「反応、素直だね」
耳元で言われた声が、自分の声と同じ高さで、それが妙に混乱を招いた。責められているのに、鏡に触られているような感じがした。
彼は少し離れたところに座って、何もせずに見ていた。見られている、というより、見せている。その構図に気付いたとき、下着の中がもう濡れているのが自分で分かった。
服を脱がされる順番も、彼女のほうが正確だった。
背中のホックを片手で外して、そのまま胸に手を滑らせてくる。掴むのではなく、下から支えるように持ち上げられて、先だけを親指でかすめられた。強くされない。かすめて、離れて、また戻る。自分がされたら気持ちいい速さ、というものを彼女は明らかに知っていた。
「もっと強くしていい?」
「……して」
言った瞬間、指の腹で潰された。声が出た。出た声を、彼が向こうで聞いている。それも全部込みで、腰の奥が疼いた。
彼女の手が下りていく。太ももの内側を撫でて、下着の上から割れ目をなぞる。布が食い込んで、濡れているのが線になって浮いた。中に入ってこない。入ってこないまま、外側だけを何度も往復されて、私は自分から腰を上げた。
「上げたね」
笑われた。恥ずかしかったのに、恥ずかしさが快感と同じ場所から出てくるのが分かった。
クリトリスに口が当たったとき、私は何も考えられなくなった。
皮を剥いて、剥き出しになったところを舌先で転がされる。舌の動きが、私が自分でするときの動きとほとんど同じだった。同じなのに、自分でしていないから止められない。逃げようとして腰を引くと、太ももを掴んで引き戻される。その手も、自分の手と同じ大きさだった。
「ここ、好きでしょ」
答えられなかった。答えられないまま、頷いた。頷いたら、そこだけを集中して吸われた。
はじめての波は、あっけなく来た。来ているあいだも舌は止まらなくて、止まらないから終われない。終われないまま二度目が重なって、私は自分の膝が震えているのを他人事のように眺めていた。
彼が近づいてきたのは、三度目のあとだった。
「挿れていい?」
私が頷くのと、彼女が私の頭を膝に乗せるのが同時だった。散々舐められて緩みきったところに、抵抗もなく根元まで入ってきた。下から奥を突き上げられながら、上から髪を撫でられる。強く扱われることと、大事に扱われることを、別々の人間から同時に受け取った。
そのあいだも彼女の指は私の乳首にあって、突かれるたびに揺れるのを、指で挟んで押さえていた。押さえられているぶん、逃げ場がなかった。
奥まで届いたとき、私は彼女の腕を掴んでいた。掴んだ手を、彼女が握り返してくれた。それだけのことで、私はもう一度いった。
終わったあと、三人で床に座って水を飲んだ。
「どうだった?」と彼女が訊いた。私は少し考えてから答えた。
「自分がどこが好きなのか、はじめて分かった気がする」
「そうだと思った」
彼女は笑って、それ以上は何も言わなかった。彼が毛布を持ってきて、三人ぶん広げた。
次があるかは、まだ決めていない。決めていないけれど、私はもう、自分の指の動きが誰かの動きに似ていることを知ってしまった。
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今夜のものを見るこの物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。