エロ物件 逃げ場のない部屋
包まれたい非日常感がほしい
読んでいたところから開きました
「上と下、分けてみない?」
三度目の三人だった。一度目は緊張して、二度目は勢いで終わって、三度目にしてやっと、私は自分から提案できるようになっていた。
「分けるって?」
「ひとりが上だけ。ひとりが下だけ。途中で交代なし」
二人が顔を見合わせた。片方が「制約があるほうが燃えるやつだ」と笑って、もう片方が「じゃんけん」と言った。
決めごとはいつもと同じ。誰かが「やめ」と言ったら全部終わり。写真は撮らない。翌日は何も訊かない。三人でそれを確認して、じゃんけんをした。上が決まって、下が決まった。
分けた瞬間に、何が違うのかがすぐ分かった。
ひとりに全部されているときは、リズムがひとつしかない。速くなれば全部が速くなるし、止まれば全部が止まる。体はそのリズムを覚えて、次に来るものを準備する。
二人だと、リズムが二つある。
上が緩めているときに、下が強くなる。下が待っているときに、上が畳みかける。二つのリズムは合わさらない。合わさらないから、準備ができない。準備ができない体は、毎回はじめての反応をする。
「これ、きつい」
「まだ何もしてないよ」
上の人が笑って、乳首を舌先で弾いた。同時に下の人が、濡れた襞を指の背でなぞった。二箇所が同時に来て、私は最初の十分で一度いった。いっているあいだも上は乳首を吸い続けて、下は入口だけを浅く出し入れしていた。
上の人は、胸から離れなかった。
決めごとを律儀に守って、鎖骨から下、へその上までしか手を出さない。その範囲を、延々と使い尽くしてくる。
吸って、離して、息を吹きかけて、また吸う。硬く尖った先を、歯で軽く挟まれて、そのまま舌で潰される。強くしたあとに必ず弱くする。弱くされているあいだ、私は下のことしか考えられなくなる。考えた瞬間に、上がまた強くなる。
「下ばっかり考えてるでしょ」
「……だって」
「こっちも見て」
見た。見たら、目を合わせたまま先を口に含まれた。その顔と、下から来る圧が同時に脳に届いて、二度目が来た。
下の人は、時間の使い方が上手かった。
挿れてくるまでに、たっぷり待たされた。指でクリを、中の浅いところを、ずっと。奥には来ない。来ないまま、腰が浮くのを何度も見られた。溢れたものが尻のほうまで垂れているのが自分で分かった。
「奥、してほしい?」
「して」
「言い方」
言わされた。言ったら、そのとおりにされた。
根元まで入って、亀頭が子宮口に当たった瞬間、上の人が同時に乳首を強く吸った。上と下が偶然重なることがある。狙っているのではなくて、二人が別々に動いているから、たまたま重なる。その偶然が来るたびに、中がびくりと締まって、締まったところを構わず突かれた。
跳ねるたびに、二人が笑うのが聞こえた。
いちばん保たなかったのは、二人が示し合わせたときだった。
途中で、上の人が下の人に何か短く言った。私の頭越しに、二言だけ。何を言ったのかは聞き取れなかった。
そのあと、二つのリズムが揃った。
揃った瞬間、それまで散らばっていた快感が一箇所に集まった。乳首を吸う速さと、奥を叩く速さが同じになる。集まって、行き場がなくなって、外に出た。自分がどんな声を出したのか、覚えていない。腰から下の感覚が数秒なくなって、戻ってきたときにはシーツが広く濡れていた。潮だと言われるまで、自分が噴いたことに気付かなかった。
「今の、なに」
「ちょっと合わせてみた」
「……ずるい」
「じゃあ、もう一回」
終わったあと、三人で床に座って水を飲んだ。
「分けるの、よかった?」
私は少し考えてから答えた。
「予想が立たないのが、こんなにきついと思わなかった」
「じゃあ次は、上と下を交代しよう」
その一言で、私はまた体温が上がるのを感じた。悟られないように、水を飲んだ。たぶん、悟られていた。
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今夜のものを見るこの物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。