小島さん&皆瀬さん
非日常感がほしい独占されたい
読んでいたところから開きました
言い出したのは私だった。
「三人で、してみたい」
酔った勢いということにしておきたかったけれど、彼は真面目に受け取った。「相手は?」と訊かれて、私は名前を出した。三人とも知っている、大学からの付き合い。
決めごとは先に作った。誰かが「やめ」と言ったら全部終わり。写真は撮らない。次の日に気まずくなったら、なかったことにしていい。三人でそれを確認してから、日にちを決めた。
始まりは、拍子抜けするほど普通だった。
三人でソファに座って、飲んで、笑って。ただ、両側に人がいる、というだけで、私の呼吸はもう浅かった。彼が私の髪に触れる。その手が見えているのに、反対側から別の手が腰に回ってきて、そこで初めて「あ、始まった」と分かった。
視線が二つある、というのが、まず違った。ひとりのときは、見られている場所は一箇所だ。二人だと、見られていない場所がない。恥ずかしいのに、逃げる先がない。逃げる先がないと、人は諦める。諦めた瞬間から、体が急に素直になった。
彼が正面から唇を塞いでいるあいだに、後ろから服を脱がされていく。キスに応えることと、脱がされることを、同時に受け取る。処理が追いつかない。追いつかないまま、下着だけになっていた。
「後ろ、任せていい?」
「うん」
私の頭越しに、二人が短く相談する。その、私を挟んで打ち合わせている感じに、腰の奥が疼いた。物みたいに扱われているのに、ちゃんと確認されている。その両方があることが、たぶん、この夜の全部だった。
後ろから乳首を、前からクリを、同時に責められた。
片方に集中しようとすると、もう片方が強くなる。慣れる暇を与えられない。ひとりが緩めたら、もうひとりが押し上げる。波が引ききる前に次が来るので、いつまでも降りてこられない。
「もう、むり、二人とも……っ」
「まだ言うことある?」
「……もっと」
言わされた。言ったら、両側から同時に笑われた。その笑い方が、悔しくて、致命的によかった。
彼が下から根元まで入ってくる。奥まで収まったところで、もうひとりが私の顔を上に向けさせた。口を開けさせられて、その先は言葉にならない。喉の奥まで咥えさせられて、下は子宮口を叩かれていて、手は誰かに握られている。全部の穴が同時に埋まっているのに、頭だけが妙に静かだった。呼吸ができないぶん、中の感覚だけが濃くなった。
一度目は、あっけなく来た。
中で締めつけたのが分かったらしく、二人が同時に動きを止めた。止めたのに、体が勝手に痙攣し続ける。止まっているのに終われない、という初めての形だった。
「まだ一回目」
誰が言ったのか分からなかった。分からないまま、二度目が始まった。体位を変えられて、今度は後ろから。前に回った手がクリを探り当てて、中と外を別々の人間に責められる。同じ人の手なら「次はこう来る」と予想がつくのに、別々だと予想が立たない。予想が立たないと、体は毎回はじめての反応をする。
三度目は、中だけで来た。奥を叩かれ続けて、腰から下の輪郭が消えて、私は自分がどんな声を出しているのか分からなくなった。抜かれた瞬間に噴いて、二人が同時に「出た」と言った。誰の手がどこにあるのかも、もう区別がつかない。区別する必要も、なかった。
終わったあと、三人で床に座って水を飲んだ。
「気まずい?」と彼が訊いた。私は少し考えて、首を振った。
「思ってたより、ちゃんとしてた」
「決めごと作ったからね」
もうひとりが笑って、毛布を私の肩にかけた。誰の毛布かも分からないまま、しばらく三人とも黙っていた。悪くない沈黙だった。
次があるかは、まだ決めていない。決めていないけれど、なかったことにはしなかった。
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今夜のものを見るこの物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。