CIRCLEMATE サークルメイト
包まれたい耳で感じたい言葉で責められたい
読んでいたところから開きました
私は、社内でいちばん真面目だと思われている。
会議では発言が少なくて、頼まれた議事録を期限より早く出して、飲み会は一次会で帰る。「〇〇さんって、そういうの興味なさそう」と、去年の忘年会で言われたことがある。言った本人は褒めたつもりだった。私は笑って頷いた。
そう見えるように、十年かけて作ってきた。
その日の会議は、十九時に終わった。全員が出ていったあと、私は資料をまとめていた。彼が扉を閉めて、内側から鍵をかけた音がした。
「三十分」と彼は言った。「次の枠まで三十分空いてる」
「……知ってます。押さえたの私なので」
「じゃあ、そのつもりで押さえたんだ」
否定しなかった。否定できる嘘を、その場で思いつかなかった。
前に一度だけ決めたことがある。私が「無理」と言ったらその場で全部終わり。二人でそれだけ決めて、それ以外は決めていない。
彼はまず、私のブラウスの襟に指を入れた。それだけ。首の後ろを、二本の指でなぞっただけ。
私の膝が笑った。
「早いね」
「……あなたが、遅いからです」
言い返したのが間違いだった。彼は椅子を回して、私を座らせたまま向かい合った。机の下に手が入ってくる。タイトスカートの裾を、太ももの上を滑らせるように、ゆっくり押し上げていく。急がない。急がないのが、この人のいちばん悪いところだ。
「会議中、ずっと足組み替えてたよね」
「……見ないでください」
「見るよ。誰も見てないから、俺だけ見てた」
その言い方に、腰の奥が鳴った。会議室の白い机、プロジェクタの残熱、廊下を通る足音。全部そのままの場所で、私の下着だけが、もうどうしようもないことになっている。
下着の上から割れ目をなぞられて、彼が短く笑った。布はもう、線になって食い込むくらい濡れていた。
「ここ、会議のあいだから?」
答えなかった。答えなかったことが、答えになった。
布の上から、クリを一点だけ押される。
強くはない。ただ、外さない。同じ場所を、同じ強さで、逃げても追ってくる。布越しなのに、皮の上からクリの位置を正確に押さえられている。私は机の縁を掴んで、声が出ないように口を閉じた。閉じたところで、呼吸は隠せない。太ももを擦り合わせると、下着がぬるりと滑った。
「声、出さないの偉いね」
「……ここ、会社です」
「うん。だから偉いって言ってる」
褒められると弱い、というのを、この人に知られている。それが一番まずい。褒め言葉ひとつで、私の体は勝手に開き方を変える。
下着を横にずらされて、襞に直接指が触れた瞬間、私は自分でも驚くくらい濡れていた。皮を剥かれて、剥き出しのクリを指の腹で転がされる。滑る音がした。会議室は静かで、その水音がやけに大きく聞こえた。
「聞こえる?」
「……やめて」
「やめる?」
「……やめないで」
言わされた。言った瞬間、指が二本、根元まで入ってきた。腹側の上のほうを引っかけるように押されて、掻き出すみたいに動かされる。そこが私の弱いところだと、いつのまにか把握されている。把握されたところを、時間を計ったように的確に責められる。中が勝手に指を締めつけて、締めつけたぶんだけ水音が大きくなった。
「あと十五分」
腕時計を見ながら言われて、私は初めて泣きそうになった。
制限があると、体は焦る。焦ると、いつもより早く上がっていく。彼はそれも分かっていて、わざと時間を口に出す。十二分、と言われたときには、私はもう机に突っ伏していた。
「顔上げて」
「……無理」
「上げて。誰の前で、こんな顔してるか言って」
顔を上げさせられた。会議室の窓に、自分の顔が映っていた。いつも冷静だと言われる顔が、口を半分開けて、目の焦点が合っていない。あれが私だと認めるのに、少しかかった。
認めた瞬間、来た。
指を思いきり締めつけながら、私は机の上の資料を掴んで、声を殺しきれずに漏らした。腰が跳ねて、椅子が床を鳴らした。中が痙攣しているのを、指を入れたまま確かめられている。廊下で誰かが笑う声がした。近い。近いのに、止まらなかった。太ももの内側を伝ったものが、椅子の座面まで垂れた。
「あと五分」
まだ終わっていなかった。
指を抜かれないまま、今度は速く動かされた。いったばかりのクリを親指で潰しながら、中の同じところを掻き続ける。一度目のあとの体は、触られるだけで痛いくらいに反応する。逃げようとしても椅子から降ろしてもらえない。膝を割られて、押さえつけられて、そのまま二度目に連れていかれた。
二度目は、声が出なかった。
出す余裕がなかった、が正しい。腰から下の感覚が一度なくなって、戻ってきたときには、机に肘をついて息をしているだけの人になっていた。
彼は手を洗いに行って、戻ってきて、何事もなかったみたいに椅子を戻した。
「議事録、明日でいいよ」
「……今日中に出します」
私は本当に、その日のうちに出した。いつもどおりの体裁で、誤字もなく。受け取った人は、いつもどおりだと思っただろう。
みんなが「そういうの興味なさそう」と言う顔で、私はその夜も普通に電車に乗って帰った。誰も気付かない。気付かれないことが、私の一番の贅沢だと、最近わかってきた。
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今夜のものを見るこの物語は創作です。登場する人物・団体はすべて架空で、 描かれる行為はいずれも成人どうしの合意の上のものです。